2017年5月1日月曜日

森友の土地取引 資料を検証   徹底的にやってくれ!!

<森友学園>検証 土地取引はどこがおかしかったのか

毎日新聞 4/30(日) 8:45配信
大阪市の学校法人「森友学園」が国有地を購入した取引に不正はあったのか。籠池泰典・前理事長の証人喚問が国会で開かれたものの、いまだ決着はついていない。毎日新聞は問題の核心に迫るため、売買契約書や廃棄物調査の報告書などを入手。専門家とともにこれらの資料を分析し、土地取引を検証した。【杉本修作/社会部、奥山はるな/社会部】

◆「神風が吹いた」
 まずは、問題となった土地取引をおさらいしたい。財務省近畿財務局は2016年6月に、大阪府豊中市の国有地約8770平方メートルを学園側に売却した。学園は小学校を開設する予定だったが、今回の問題発覚後に設置申請を取り下げている。
 取引は2段階で進んだ。財務局と学園は15年5月、土地を将来購入することを前提にいったん賃貸契約を結ぶ。しかし、その後の校舎建設工事で、地中から想定外の廃棄物が見つかり、学園側の希望で契約が「賃貸」から「売買」に切り替わった。土地の評価額は約9億5000万円だったものの、廃棄物撤去費約8億2000万円を差し引いた約1億3000万円で売却されている。
 この値引きが度を越しているとして、政治家が不当に介入したり、財務省側が政治家の意向を「忖度(そんたく)」したりした可能性を指摘する声が相次いだ。籠池前理事長自身も、うそをつけば罪に問われる可能性がある3月23日の証人喚問で「神風が吹いた」と証言している。ポイントになるのは、この値引きが適切だったかどうかだ。

◆異例の分割払い
 私たちがまず調べたのは、取引の要である土地取引の売買契約書だ。不動産取引を手掛ける東京都目黒区の会社社長に契約書を見せて意見を尋ねると、「この契約内容なら私も買いたいくらい」と驚きの声を上げた。
 会社社長が注目したのは、国が年利1%という低金利で10年の分割払いに応じている点だ。財務省側も国会答弁で、国有地取引は一括払いが原則で分割に応じる例はほとんどないことを認めている。社長は「銀行が入らないで、売り主(国)が分割払いに応じた契約は見たことがない。学園側に配慮した契約とみるべきだ」と分析する。
 学園側は小学校設立の資金繰りに困っていたことが既に明らかになっている。一定の借入金があれば私立小を設立できない規定もあり、低金利の分割払いを認めた異例の契約内容が、学園側を助けたことは間違いない。

◆トラブル回避を重視?
 売買契約書からは、売却後のトラブルの芽を摘んで、取引に決着を付けたい国側の強い意向も透けて見える。
 契約書では、国側が契約解除や損害賠償を求めることのできる権利を確保している。一方、学園側はこれを放棄し、「名目を問わず一切の瑕疵(かし=欠陥などの問題)について財産上の請求をしない」と確約していた。違約金の支払い義務も学園側だけに課され、違反した場合、取引額の1割(1340万円)を支払う内容だった。
 この契約内容について、渋谷区の不動産コンサルタントは「売却後にトラブルが起きそうな相手の場合、私もこのくらいの免責を入れる。今後、この土地の責任は一切負わないという国の強い意思を感じる」とみる。その上で「確かに価格の面は国が譲っている印象は受けるが、売買契約の立場では国の方が上では」と総括した。

◆「異臭がする」
 旧民主党政権下の国土交通省が2010年1月、この土地の価値を算定するうえで重要な調査を実施していた。レーダーを使って地下3メートル付近まで全域を調べたうえ、敷地内の68カ所を試掘するものだ。この結果をまとめた廃棄物調査報告書のデータが、約8億円の値引きの根拠となった廃棄物量の推計に使われている。
 入手した調査報告書によると、全ての試掘点で廃棄物が確認されていた。校舎が建設された北側エリアで量が多く、木くず、生活ゴミ、ブロック片など種類も幅広い。「異臭がする」との記載もある。
 廃棄物は賃貸契約前の14年10月に行われたボーリング調査でも見つかっていた。地下3メートル付近まで廃棄物があり、さらに10メートル付近まで水を含んだ比率の高い軟弱地盤が続いていたという。あまり優良な土地とは言えないようだ。

◆敷地全体に廃棄物?
 問題は、8億円を値引きするほどの廃棄物があったかどうかだ。環境法令に詳しい大阪市の行政書士は、「国交省が推計した廃棄物量は多すぎる。本当であれば大規模な不法投棄事件になりかねない」と指摘した。

 問題視したのは、10年の廃棄物調査報告書を基に国交省が推計した1.9万トンという廃棄物の量だ。国交省は土中に混じった廃棄物の混入率を約47%として積算したものの、行政書士は「敷地全域に廃棄物が敷き詰められていなければあり得ない」と強調する。
 実際、報告書の記載を見ると、廃棄物の量は場所によって濃淡がある。全地点の土中の廃棄物混入率は平均20%程度に過ぎず、廃棄物量が多い北側エリアだけでみても、90%近くに上った地点もあったが、平均では30%程度だ。国が積算した47%には遠く及ばない。混入率はかなり高めに見積もられた可能性がある。

◆「不自然」な値引き
 これに対して、東京都港区の廃棄物コンサルタントは「報告書にある木くずや生活ゴミが土と混在していれば土を含めて廃棄物と考えることもあり得る」と国の算定に一定の理解を示しつつも、8億円の値引きには疑問を投げかけた。「通常は複数の業者から見積もりを取って撤去費を抑える。国交省や財務省にはそうした姿勢が見られない」と指摘する。
 前述の不動産会社社長と不動産コンサルタントの2人も、専門業者に調査を依頼しないまま、値引きした対応を「不自然」と言い切った。会社社長は「撤去費を相見積もりすれば、多く見積もっても5億円程度には抑えられたのではないか」と推測する。
 財務省の佐川宣寿理財局長は国会で「小学校の開校が遅れれば、学園から損害賠償請求される恐れがあった」と釈明した。提訴を恐れたとしても、調査を尽くさないまま国の財産を安く売ってしまったならば、本末転倒だ。

◆国会論戦から検察捜査へ
 財務省は、今回の土地取引を巡る学園側との交渉記録はすべて破棄したという。このため協議内容すべてを確認できない状態に陥っているものの、地元市議らが「近畿財務局の職員が国有地を不当に安く売却した」として、職員を特定しないまま背任容疑で大阪地検に告発。このほか、学園側が虚偽の契約書で国の補助金を不正受給したとして補助金適正化法違反容疑で籠池氏も告発されており、真相解明の舞台は、国会論戦から検察の捜査に移りつつある。

この問題は数々の異例の事態が連続して起こっている。
これは、何らかの政治的忖度が働いたとしか考えようがない。
キッチリ素捜査して全容を解明していただきたいものだ。

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